人情味に行き当たる日だった。昼過ぎ入った定食屋で、それらしく白い三角巾・エプロンをした大将と、カウンター越しに荷物も下ろさず緑鮮やかなカーディガンという格好の母親が、何やら言い合いをしているのに出会した。
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国語の問題集に依て原罪を識る
小学生向けの問題集を取り扱っていると、屡々国語の文章題に興味深い一節を見つける。特に心に残るのは、ライオンとシマウマについて書いていた物である。本文の骨子其れ自体は日本対「欧米」(実に横暴な括りである)で語られた保守的な文化論であったと思うが、此の記述は面白かった。
猫の愛おしい習性の一つ
動物と生活を共にするという事は、我々人類に多くの発見を与え得る。其の中でも、猫は格別素晴らしい。生への尊い利己主義、其の偽り無い美しさに、私は常日頃打ちのめされる気がする。
綺麗嫌いの耽美主義
他所では生真面目な整頓家であるが、個の空間となると一転物を散乱とさせる人間は多い。筆者もその内の一人であって、筆者の場合敢えて書類や資料を散乱とさせ置くのが兎に角好きなのである。
初学者の夢
しかし自分の目標設定が余りにも曖昧で──謂わば諦めが悪い故に、『全てを理解したい』という無智な完璧主義的性質が此処でも悪さをし、初学者の分際で身の程知らずの絶望を繰り返している。
失った人と円柱
昼近い朝に起きたら、僕は怠惰な足取りで階段を下り居間に入る。待機している助手にやぁお早う、と声を掛けると…
飛び去り飛び乗る15人
発車合図に急かされ乗り込んだ車両は最後尾で、同時に最後方の扉でもあった。
雷を肴に酒を飲む
既に一月も前の事になる。弐阡弐拾年皐月第六の日は、凄まじい嵐の夜であった。其の時私は、全ての人工的な音を断って部屋を暗闇にし、荒れ狂う雨風を厭わず窓を開け放って、寝台の上に膝を抱えて座っていたのである。
僕を脅かしても面白くないだろう
しかし怖がりであるが故に問題は起こる。恐怖が想像力を悪用して、娯楽の時限を超え平穏を望む時限にも闇と蔭とを媒介に侵蝕して来るのである。
蛸焼きを焼きながら原始の地球を思う
太陽系は45億6700万年前に誕生した。原始惑星は微惑星同士の衝突反動によって岩漿の海に包まれており、冷えた所々は岩石となり固まった。そしてまた衝突が起これば、一面岩漿に包まれる。此れを繰り返していた。原始地球も又た、其の様な微惑星の内の一つであった。